なぜか内丸になる鉋刃

最近、研いだ鉋刃がなぜか内丸になっていることに気が付きました。

1000番は響の砥石を使っているので、そんなに型崩れしにくいものですし、頻繁にアトマのダイアモンド砥石を掛けていたので砥石の形は平坦だと思っていました。

試しにストレートエッジを当ててみたところ、中央部が高く、前後が低くなっている状態でした。

ダイアモンド砥石の当て方が下手だったのかと思い、名倉砥石を中央部に当てて凹ませてから、再度ダイアモンド砥石を当てて平面を出そうとしました。

しかしながらやはり平坦にはならず、数週間もなぜかなと思っていましたが、本日試しにダイアモンド砥石にストレートエッジを当ててみたところ、見事に歪曲していることが分かりました。。。

アトマの替刃のタイプなので、本体が曲がっているか、替刃の部分が曲がっているのか確かめるために替刃をはがして本体も調べてみました。以下の写真のようになりました。

みごとに曲がっていますね。

こんなに曲がっていては砥石も曲がってしまうこと間違いなしです。

工場に師匠の使っていないアトマのダイアモンドがあったので、とりあえずそちらを使わせていただくことにしました。師匠のものは平坦でした。

ちなみに本体の部分の仕上げが、私のものはバフで磨いた(研磨)ような仕上げでしたが、師匠のものはフライスで加工したままの状態でした。

ここまで歪曲しているのは普通の工程で出そうにないものですし、私が折り曲げた記憶もないので、不思議です。

ということで製造しているツボ万に問い合わせてみました。

回答としては以下の通りでした。

  • 出荷している製品はすべて製品の仕様を満たしている。
  • 製造方法は昔はフライス加工だったが、現在はフライス加工はせず研磨のみである。
  • アトマエコノミーも取っ手のついた砥石修正用アトマも同じくフライス加工は行っていない

以下、私見を書いてみようと思います。

1. “製品の仕様を満たしている”点

1つ目にある“製品の仕様を満たしている”点ですが、製品紹介ページに平面度(どれだけ平坦化を示す数値)が記載されておらず、平らに研げるとも謳っていないので、そもそも平面度の公差を指定していない可能性が大きいです。

平面度を指定していなければ、社内で加工したり管理する必要もないので、金属メーカーから製品サイズにカットされたアルミ板を購入し、そこにアトマシートを張り付けていると思われます。

平面度を指定していなければ、検査せずとも全数仕様を満たしていると言えます。

2. “製造方法でフライス加工がなくなった点”

2つ目の“製造方法でフライス加工がなくなった点”はただのコストカットかと思ったのですが、後述する機械メーカーの仕様ではフライス加工より研磨のほうが平面度が良いことになっていました。師匠のものはフライス加工で精度が良かったのは謎です。。。

3. 砥石修正用アトマも平面度を出していない点

3つ目の砥石修正用アトマの件ですが、砥石修正用と謳っているのに平面度を出さないのは、ユーザーの期待に応えようとしていないような気もします。

結論

結論として、虚偽広告はしておらず、製品仕様は満たしているということで、ツボ万社さんが悪いとは言えないです

メーカーからすれば、平面とは全く言っていないのに何勝手に平面を期待しているの?と言えます。

平面度の指定がされていないということであれば、平面度の良くない製品が出回っているということなので、購入される際にはネット通販でなく、現物をストレートエッジなどで確認してから購入することがおすすめされます。

ちなみにツボ万社さんに問い合わせした際にクレーマーだと思われたのか、在庫の中から平らだと思われるものを送ってくださいました。ありがたく受け取りましたが、送られてきたものはすこしだけ平面度が良くなったもので、師匠のフライス加工のものより平面度はだいぶ悪かったです。

金属プレートを機械加工メーカーに発注してみた。

さてアトマ本体の平面度が期待できないと分かったところで、どうしようかと思い、指定寸法で金属プレートを作ってくれるMISUMIという会社で注文してもらいました。ちなみにMISUMIは機械業界では超有名な部品・部材の供給加工メーカーです。

仕様も提示されていてサーフェイス研磨仕上げのものは、長さ210mmで平面度0.06mmとなってました。

結果は以下の写真のようになりました。

MISUMIで注文したアルミプレート

アトマ本体よりはだいぶましですが、中央がわずかに凹んでいました。

これは金盤に当てて、砥石で直して平面を出していきましたが、設備がないとだいぶ大変だろうなと思いました。

最終的な結論

自分で平面を出すぐらいなら平面度の良いガラスにアトマの替刃を張り付けた方がいいなと思いました。