第二ロット品と硬さ試験

第二ロット品

先日第二ロット品10枚が仕上がりました。

第二ロット品

今回は寸六を目指して製造してちゃんと寸六になりました。前回ロット品の寸六から寸四への変化のもようはこちらから

前回の課題であった反りはだいぶ収まりましたが、まだ師匠のようにまっすぐにはなりませんでした。ちなみに反る原因を調べてみましたが、焼き入れの際に外側と内側の温度が違うことと、鋼がオーステナイトからマルテンサイトという組織に変態(組織がかわること)することにより鋼の長さが変わることが原因のようです。焼き入れの際に200度付近で引き上げればそりが収まるようなので、次回の焼き入れの際は引き上げのタイミングを変えてみて反り具合を見てみようと思います(師匠が許してくれれば。笑)

反りがあまりない鉋

そのほかの形状的な不具合は中央部の凹み具合が師匠のよりも浅いといったところです。これは鍛接と火造りの時(※鉋の製造手順はこちらから)に形が大きく崩れるのを恐れて強く叩けなかったことが原因かなと思います。次回は思い切りよく叩きます。

最後の研ぎですが、刃先を叩き起こす裏上げで前回は一枚も割らなかったので調子に乗って思いっきり裏上げしていたら刃先の鋼を直接叩き、4枚もの鋼を割ってしまいました。。。さすがにもったいなかったので次回はもう少し気を付けます。刃先の裏はきれいな直線になってきましたが、依然として裏上げの痕が残ってしまっています。裏上げの痕を残さないためにはどのようにすればいいのかアドバイス募集中です。

硬さ試験

 第二ロット品としてできた鉋を小森小鉋製作所で硬さ試験させてもらってきました。比較用に師匠のスコ鉋(傷があり売り物にならないもの)を借りて試験しました。硬さ試験はいくつか方法があるのですが、小森さんのところにあるのはロックウェル硬さ試験機で、四角錐のダイヤモンドでできた剛体を押し当てることで、四角錐の面積から硬さを求めるものです。今回の鉋で使用した鋼は青紙1号で焼き入れ・焼き戻しした後の硬さは通常64~65HRCになるものです。※HRCは硬さの単位です。

 4枚の鉋を試験しましたが、硬さは61~64HRCでした。通常の硬さと比較してだいぶ甘い(柔らかい)刃になってしまいました。小森さんに相談したところ脱炭したのが原因ではないかと言われました。脱炭は鋼を高温に熱した際に鋼に含まれる炭素が空気中の酸素と反応し、CO・CO2として抜けていく現象です。鋼は炭素含有量が多いほど硬くなるため、炭素が抜けたことにより柔らかくなってしまったということです。たしかに師匠よりだいぶ長い時間をかけて鍛接・火造りしたためその間に脱炭したのではないかと思われます。

 師匠の鉋も試験したところなんと66.1HRCでした!!!!なんという差だろうか。。。さすが師匠!!!あまりの違いにショックを受けていましたが、よくよく考えてみると試験した師匠の鉋は焼き入れの際に傷が見つかったため、焼き戻しをしていない鉋でした。笑 師匠が言うには焼き戻しをしたら64~65HRCになっていたとのことです。

 それにしても私の鉋刃61~64HRCとばらつきが大きいので、自分で鉋の品質を制御できていないということになります。鉋は硬ければいいわけではないという話も聞きますが、やはり品質を安定させることができなければ、思い通りの鉋を作れないということですので、まずは同じ硬さを出せる技術を身に着けたいと思います。

 今後は勉強した組織の話や組織を観察した話などもしていこうと思います!

 あと同じく修行中の島田さんとふいご祭りを復活させようともくろんでいます。現在大鎚を探しています!寄付してくれる方募集中です。

 それでは。

 似鳥